Report on January 2018 急速な経済発展の影で-内戦終結から 9 年目を迎えるスリランカ 『平和を求めた男』 「内戦中は大変なこともありましたが、今は平和が訪れ本当によかったと思います。」そう語るのはスリランカ北部州マンナール県タレイマンナール村に約 20 年間住んでいる仏僧のテロさん( 58 才)である。この村は小さな漁村であるが、スリランカーインド間の定期フェリーが、内戦の激化する 1990 年まで発着していたことで有名な村である。テロさんはこの村で唯一の仏教徒であり、僧侶である。猫 4 匹、子犬 7 匹と共に単身この地で暮らしている。( 7 匹の子犬は数ヶ月前に寺の前にかばんに入れられて捨てられており、引き取って育てている) この村には少なくとも数百年以上前から仏教寺院があったと言われるが(北部州には紀元前にすでに仏教は伝わっている)、タミル人(ヒンドゥー教徒、キリスト教徒)が絶対的多数を占めるこの地域では仏教は廃れ、内戦が始まった 1990 年代はこの村の仏教寺院は廃墟となっていた。それを知った南部州出身テロさんは廃墟となった寺院を復興させるため内戦中の 1999 年、単身この村に移り住んだ。「寺を復興させたかったのもありますが、平和へ向けてなにか行動するべきと感じました。」テロさんはそのように語る。村民にもなんとか受け入れてもらったが、タミル独立を標榜する LTTE (タミル・イーラム解放の虎)の支配する地域において、シンハラ人仏教徒がこの地域に住むのは危険が付きまとい、どれほどの苦労だったか想像に難くない。事実タミル人ではないイスラム教徒ムーア人は内戦中この地域から強制的に追い出されている。テロさんは今ではタミル語も解し、近所の仲間という感覚で住民と付き合っている。宗教や民族の違いで争うことは良くないと話す。 テロさんはこの村に移住した後、得意だった大工仕事の技術を生かし、廃墟となった寺院の建屋や境内をたった一人で少しずつ修復し始め、 2015 年からは新たに仏塔(ストゥーパ)を建築中である。今では溶接や、コンクリート仕事も得意になりましたと言う。まだまだ修復は残っており、新たに拡張したい部分もあるとのことである。資金はたびたびスリランカ南部へ赴き、仏教関係者から寄付金を募り、寺の修復費に当ててい...